乳がん患者さまと新型コロナワクチン接種についての注意事項

最近、よく問合せがありますが、乳がん患者さまの新型コロナワクチン接種に対しては少し注意事項があります。
副反応として、接種部の痛み・発熱はよく知られていますが、注射した近くのリンパ節が腫れるという現象が分かってきました。
例えば、左腕に打った場合なら左脇のリンパ節が大きくなり、違和感を感じたり・しこりとして触れたりします。
これはワクチンに体が反応している証拠で、それ自体には問題ありません。普通でも1~2ヶ月くらい腫れますが、刺激するとさらに大きくなるのでそっとしておくのが良いでしょう。
まぎらわしい事に、本当に乳がんが診断されて今後治療を開始する人や、手術して数年以内の人が接種した場合では癌のリンパ節転移の可能性も考えないといけません。ですので、手術を受けた(予定されている場合も)反対側の腕に接種する方がいいでしょう。
両側術後の方は、転移の可能性の低い側の腕に接種するか、大腿やお尻の筋肉に接種することも考慮してください。
乳がんにかかったこと自体は新型コロナウイルスの重症化リスクではありません。しかし、接種が先行した高齢者での最近の感染者数や重症化率の低さを見ると、やはりワクチン接種した方が良いでしょう。
手術前や化学療法治療中の方・ホルモン療法治療中や経過観察中の方は、接種時期や左右どちらの腕に接種するべきか、事前に主治医に相談することをお勧めします。

駆和会 茶屋町ブレストクリニック
 理事長 脇田 和幸

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